私にとって「ビンテージ」とは単なる言葉ではなく、生き方そのもの。-Dupenny

現在エミリーが暮らすのは、ロンドンから電車で1時間ほど離れたブライトンという街。《Dupenny》の拠点にもなっているこの街での暮らしのことを聞いてみました。

「2001年に大学生活のためにブライトンに移り住んで、すぐこの街に馴染んだわ。雰囲気がとてもしっくりきたの。ブライトンはとてもボヘミアンな街。アーティストやミュージシャン、ヒッピーであふれ、他人に気兼ねせず自分を自由に表現できるの!ファッションやアートを気軽に試せるし、地域コミュニティもそんな風潮をとてもあたたかく受け入れてくれて多様性にも寛容。そして、この街の人は環境や自分たちが地球に与える影響についての意識がとても高いの。こういうところも好きね」

ブライトンはイギリスを代表する海辺のリゾート都市で、日本でいうところの鎌倉や湘南に例えられることもあります。

「今は賃貸に住んでいて、残念ながら壁紙を貼ることができないの。これは仕事的にもすごくフラストレーションがたまるわ。今、初めて家を買うことを計画中よ。実現したら最高に素敵でレトロなリノベーションをする予定!インテリアは自分でデザインするつもりだけれど《Mini Mordens》《Poodle&Blonde》《MissPrint》といったイギリスのブランドも大好き。このブランドのデザインは私のビンテージ美学にぴったりなの。きちんとコーディネートしたらリアルな50年代のインテリアが再現できるはず」

新居のインテリアに夢を膨らませるエミリー。お気に入りのこの街で暮らし続けていますが、近頃は心境に少し変化もあるようです。

「人に囲まれて過ごすのも好きだけれど、年を重ねるにつれて1人で物事を考えたり創作したりするのも好きになり、機会があれば静かな田舎の方に足を運んでいるわ。イギリスでお気に入りの場所は、人や芸術、音楽、文化を楽しめるブライトン、そして自然の美しさと新鮮な空気を味わえるコーンウォール。いつかそんな自然豊かな場所に移り住むのもいいわね」

イギリスの最南西端に位置し、海や雄大な自然が魅力のコーンウォール。キャバレーやバーレスクなど華やかなショーステージに魅せられる一方、自然に触れる時間も大切にする様子が休日の過ごし方からも伝わってきます。

Time For Tea

「休日はかわいい猫のジャックやリーニーとベッドでごろごろ朝寝坊をして、夫が用意してくれる素敵な朝食で1日をスタート。晴れていたら森の中を散歩してピクニックを楽しむの。私はスケッチブックを、夫はギターを持ってね。ジャックとリーニーを連れて行くこともあるわ!背負って連れて行けるバックパックやリードがあるのよ。雨が降っていたら、ゆったりと火を囲みながらローストディナーを楽しむの。お風呂でリラックスしたあとは映画の時間。まさに至福の時!タイミングが合えば家族や友達と会うこともあるわ」

サンデーローストとも呼ばれるローストディナーは、肉や野菜をローストしグレイビーソースで仕上げるイギリスの伝統的な食事。休日やクリスマスに大切な人と囲む特別な料理です。

「いつも最優先に考えているのは家族や友達のこと。時間が過ぎるのはあっという間。最近両親の体調があまり良くないこともあって、できる限り愛するみんなに会えたらと思っているの。夫や2匹の猫、ペットのヘビと充実した時間を過ごしながら、いつも笑い声や前向きなエネルギーに囲まれていたいわね」

彼女の価値観を感じさせる言葉です。仕事と生活とのバランスを大切にしているエミリーの私生活についてもう少し詳しく聞いてみましょう。

「大人になってから10年以上バレエをしていて、今はポワント(*)を練習中。ジャズやロックンロールのダンスも楽しんでいるわ。レトロな洋服のパターンや、見つけられないビンテージの洋服のパターンをオリジナルで作って裁縫するのも大好き。あとは旅やキャンプも外せないわね。今年キャンピングカーを改造する計画を立てていて、2匹の猫たちも一緒に連れて行けるように訓練中なの!もちろん、機会を見つけては歌の練習もしているわ。他にも挑戦したいことがたくさんあるんだけれど時間が全然足りないの。学びたいことが多くて大変!」
知らない世界への探究心が尽きないエミリー。これまで世界のいろいろな場所を旅してきたといいます。
「旅をして新しい場所を知るのが大好き。冒険は退屈することがないわ!幸運なことに、これまでとても素晴らしい場所を旅してきたの。東京にも訪れたことがあるわよ。今のところ、一番のお気に入りは2017年にハネムーンで訪れたハワイ。活火山を見たり、溶岩地帯をハイキングしてわずか1m先に湧き出る溶岩を見つけたり、マウナ・ケア山で星空を眺め、カメや200匹以上の野生のイルカと一緒に泳ぐという長年の夢も実現したの。本当に最高の場所だった!また訪れる日を毎日のように夢見ているの」

(*)トウシューズを履いた足の先端で立つバレエテクニック。