私にとって「ビンテージ」とは単なる言葉ではなく、生き方そのもの。-Dupenny
今後のビジョンについても聞いてみました。

「2009年に《Dupenny》を立ち上げて以来、ずっと同じ目標を持ってここまできたの。それは「自由」!まだ達成できそうとは言えないけれど、だんだんと近づいているわ。自分が「働いている」と感じることなく、いつでもどこにいても、壁紙やファッション、音楽、他のものもすべて自由にデザインして創作できるようになりたいの。将来的には夫婦でどこにいても仕事ができるような環境を整えたいと思ってるわ。そうすればもっと旅もできるし、もっとバランスの取れた生活を送ることができるでしょう?どれだけ稼げたかではなく、この「自由」という価値観こそが自分の成功を計る重要な物差しだったの。望む生活を実現したうえでお金が稼げれば、それは歓迎すべき副産物だけれどね」

まだ詳しくは公表できないという大きなコラボレーションを控え、新たに複数のセクシーなデザインにも取り組んでいるそう。今後さらに活動の幅を広げていこうとしています。

「近いうちに、例えばクリエイティブ向けの指導やアドバイス、普段見られない企業の舞台裏などの動画配信も始めたいと思っているの。『YouTube』チャンネルをもっと充実させていけたらいいわね」
2020年は世界中でかつてない大きな変化が訪れた年です。新型コロナウイルス感染拡大の状況下で、生活や仕事に変化はあったのでしょうか。

「イギリスの病院は新型コロナウイルスの患者で病床が埋まっているので、この1年はほとんど家にいて病気の両親を看ていたの。たくさんの新しいデザインやプロジェクトを計画していたんだけれど、部分的にしか作業できなかったからすべて先送りになっているわ。在宅時間が多くなり、部屋を手入れする人が増えたことでビジネスとしては良かったんだけれど、1人でやりくりするのはとても大変だった。最近新たに2人のサポートメンバーを雇ったから、2021年にはいくつかのデザインをリリースできるはずよ。商品の供給ラインにも不安を抱えているから、早々に自社製造をスタートできるようプリンターと裁断機に投資できればと思っているの。新型コロナウイルスがビジネスで自給自足する機会を与えてくれたのね」

大好きなことだけでなく苦境すらもエネルギーに変え、前向きな意味を持たせる。彼女の歩んできた人生や言葉からは、そんな姿勢を垣間見ることができます。最後に、日本のファンへ向けてのメッセージをお願いしました。
「私の作品を日本の素晴らしい文化に歓迎してくれてありがとう!私の壁紙を買ってくれる人には心から感謝しているわ。世界中の人たちに応援してもらっているなんて未だに夢のよう。みんなが私みたいにもの作りに携わる人の夢を後押ししてくれているの。新型コロナウイルスの脅威が続く間は安全に注意して、この困難な時期を中小企業が乗り切れるようにできる限り応援してあげてください。毎日笑顔で過ごし、家中を大好きなもので満たしておくことも忘れないで!」

Dupenny’s Drawing
-Exclusive to Wallpaper World-

今回いくつかの質問に、イラストを交えて答えてくれました。
本書のために描かれたオリジナルイラストです。

今お気に入りの髪型は?

「ピンクヘアね!!映画「グリース」に登場するピンクヘアのフレンチーに夢中でピンクに染めたの!14歳の頃からずっと、黒髪からブロンド、赤、それ以外のありとあらゆるカラーにもすべて挑戦したわ。カラーだけじゃなくヘアスタイルを変えるのも大好き!短くすっきりとしたピクシーカットや1920年代に流行ったボブスタイル、昔ながらのウェイビーなロングヘア。最近またボブにしたんだけれど、レトロなカールやいろんなセットを楽しめるからやっぱりロングヘアがいいかも」

好きなファッションは?

「やっぱりビンテージスタイルの洋服が大好き。リアルな1950年代の雰囲気に見えるものを選んで着ているわ」

イメージする日本の女性は?

「2007年に5ヶ月に渡って東南アジアを旅している時、東京の友人を訪ねたの。東京はこれまで訪れた場所の中でも最高にクレイジーで、ワクワクが止まらない都市の一つね。すごくクールな相撲の取り組みを観戦できたのはラッキーだったわ!でも日本を満喫するには時間が足りなかったの。いつか桜の咲く季節に再び訪れて京都の芸者さんに会いたい!」

Special Thanks to

Emily Dupen

エミリー・デュペン

《Dupenny》の創設者。プロの歌手を目指し活動していた17歳の時に耳が聞こえなくなり始め、その道を断念。気を紛らわせるために取り組んだイラストの道で才能が開花し、2009年に《Dupenny》を立ち上げる。
「世界を笑顔にする」というミッションを掲げるエミリーのデザインテーマは「レトロ」「ラブリー」「ユーモア」「モノクロ」。ビンテージとセクシーな要素を取り込んだイラスト主体のデザインで、壁紙のほかファブリックやインテリア小物を展開するなど活動の幅を広げている。