インタビュー 「伝統技法で紡ぐ繊細な線と、デジタルで表現する大胆な色使い」 -Catherine Rowe-


Catherine Rowe|キャサリン・ロウ

2018年9月、イギリスの老舗ファブリックメーカー《Liberty Fabrics》によるSNSを用いたコンペティション『#LIBERTY OPEN CALL』が開催されました。実に5,000人を超える応募者から最終受賞者に選ばれたのはたった4人。その中の1人が今回《Hatte me! SQUARE》とのコラボレーションデザインを発表したキャサリン・ロウです。

陶板の上に塗られた墨の塗膜。これを削ることによって生み出される点や線を用いて表現する「スクラッチボード」という技法があります。この繊細な技法を用いて描いたデザインに、デジタルで色付けするのが彼女流。彫り刻まれた感触を残しデジタルで色を付けることにより、伝統と現代的なスタイルを巧みに融合させた独特の世界観を表現することに成功しています。

「レモン」や「オレンジ」などのフルーツに「貝」や「ロブスター」といった海の生き物まで、さまざまなモチーフをデザインに起こすキャサリン。デザインのインスピレーションはどこから得ているのか、色使いへのこだわりや「スクラッチボード」の技法を取り入れたきっかけなど、彼女のルーツについて聞いてみました。 チャーミングでキュート、そしてエネルギッシュでビビッドなキャサリン・ロウの世界へようこそ!

* キャサリン・ロウとのコラボレーションデザインは《Hatte me! SQUARE》のほか、《Hatte me!》と《Hattan》でも展開されています。

ー 早速ですが、ブランドについてお聞きしたいと思います。三つの言葉でブランドをアピールするなら?

高級感、遊び心、大胆!

ー イギリスで一番人気の壁紙デザインは何ですか?

壁紙では貝をデザインした〈Pearl’s Dream〉が一番人気です。僅差で、中国の犬をモチーフにした〈Staffordshire Springs〉が続きます。

〈Pearl’s Dream〉

〈Staffordshire Springs〉

ー 公式ホームページでポイントに使われているピンク色が特徴的ですが、何か特別な意味や思いがあるのでしょうか。

今はとにかくピンクが大好きなんです!
ブランドとビジネスは別物だと考えるようにしているのですが、ほとんどの場合、ただ私の好みをデザインに反映させています。

ー イラストレーター、デザイナーになりたいと思ったきっかけは何ですか?

子どもの頃からずっと、お絵描きをしたりいろいろな印を描いたりするのが大好きでした。だからプロのデザイナーになったのはすごく自然なことだったと思います。イギリスでアートやデザインの単位を取得するために必要なアートファウンデーション(*)という1年間のプログラムがあるのですが、それを完了していたのでイラストを専攻するのに役立ちました。

(*)イギリスで芸術関連の学位を取得したい学生が事前に履修しておく必要があるプログラム。

ー ブランド《CATHERINE ROWE》といえばスクラッチ技法が特徴です。スクラッチ技法との出会いを教えてください。

大学の頃は版画が好きでしたが、時間がかかる上、すごく散らかるのでイライラするんです。ある日、ケンブリッジの市場でスクラッチ技法が使われたアート作品を見つけ、初めはレリーフ印刷の作品だと勘違いしていたのですが、それをいくつか購入しました。その日のうちに試して以来、すっかりのめり込んでしまったんです。

ー さまざまなデザインがありますが、動物をモチーフとしたデザインが多いですね。

アート作品を手掛けるとき、動物にはいつも最大のフォーカスを当てています。観察してスケッチするなら、描きたいのは動物と自然だけですね。私はとても引っ込み思案で1人で過ごすのが好きなので、動物には特別なつながりを感じています。