New Hattan

《Hattan》が紡ぐコラボレーションの輪

「のりに浸して」「軽く絞って」「貼る」この3ステップの施工方法と多彩なバリエーションで話題のパッチワーク壁紙《Hattan》が、2021年10月にさらなる進化を遂げてリニューアル!折りたたまれた状態で届く正方形のフリース(不織布)素材という点は同じですが、素材の裏に「のり」が加工され「切手みたいに水に浸すだけで貼れる」という簡単な施工方法が実現したのです。今回のリニューアルにより自分でのりを作る必要がなくなり、さらにお手軽に壁紙を楽しめるようになりました。
もちろん、デザインの多彩さはこれまで通り。デッドストックのカラフルなビンテージ壁紙の柄に始まり、今では24ものシリーズが展開されています。

この度、発売1周年を記念してオランダの壁紙ブランド《NLXL》とのコラボレーション《Hattan》が発表されました。デザイン性の高さはそのままに《Hattan》の素朴な素材感と見事に調和したコレクションです。《NLXL》の創業者でありクリエイティブディレクターのリック・ビンテージから寄せられたコメントとともに、デザインのラインアップをご覧ください。また、同じタイミングで登場した、日本の壁紙ブランド《WALLTZ》とのコラボレーションシリーズもご紹介いたします。

《Hattan》 × 《NLXL》

本書でもたびたび取り上げている、オランダの壁紙ブランド《NLXL》。業界屈指のデザインクオリティと表現しても過言ではない、世界を代表する壁紙ブランドです。今回MADE IN JAPANの壁紙《Hattan》とのコラボレーションに選ばれたのはリックと、彼のパートナーでCEOのエスタ・ブラクが『Mr & Mrs Vintage』名義でリリースしている大胆かつ繊細なデザインたち。

「今回選んだのは全て、職人の手で描かれた古代のパターンデザインからインスパイアされたものなんだ。デザインをどのようにリピートさせるか、職人が印刷業者に指示するために鉛筆で書き加えたグリッド線まで、そのまま壁紙にリデザインしたんだよ」

大胆に象られた花や蔦のように伸びる植物がシンメトリーにデザインされたダマスク柄。インクが剥げ下地の覗く紙割れや、印刷業者に指示するため鉛筆で書いたグリッド線などビンテージ要素のあふれるデザイン。
BIG PATTERN “LUTHER” MURAL/HMRV-02

「〈PAOLA〉はイタリアのデザイナー、パオラ・ナボーネから名付けたんだよ。実はこのデザイン、元はブラウンだったものをブルーにカラーチェンジしたんだ。なぜかって?当時、パオラと一緒に制作中だったコレクション〈ADDICTION WALLPAPER〉のメインカラーがこのウルトラマリンブルーだったんだ。彼女のデザインに魅了されてこの色を使うことにしたんだよ!」

「20代の頃、アメリカに住む父の元を度々訪れて、カリフォルニアの通り沿いにあるオレンジジュースの売店によく通っていたんだ。当時からタイポグラフィーが大好きで、フルーツが詰め込まれたクレートボックスのラベルにほれぼれとしたよ。よく見るとラベルにはアメリカの歴史や面白い言葉が描かれていて、とても興味深かった。ある日、大きなフルーツ商社が廃業して、たくさんのラベルのアーカイブを買うチャンスが訪れたんだ。それがこの壁紙「Crate labels」に生まれ変わったんだよ」

Rick Vintage

リック・ヴィンテージ

《NLXL》のクリエイティブディレクター。日本びいきで「山崎」のウイスキーがお気に入り。輸入壁紙専門店『WALPA』の代表とはファーストネームで呼び合う仲。

Copyright 2020 @misses.prins

Esther Vlak

エスタ・ブラク

《NLXL》のCEO(最高経営責任者)。飾らない優しい人柄で、美術品に造詣が深く鋭い鑑識眼の持ち主。和食が好き。

Copyright 2020 @misses.prins

《Hattan》 × 《WALLTZ》

次にご紹介するコラボレーションは、日本のアーティストやデザイナーとタッグを組む日本発の壁紙ブランド《WALLTZ》です。今回、3人のアーティストのデザインが新たなMADE IN JAPANの壁紙へと生まれ変わりました。

WALLTZ

ウォルツ

日本の素晴らしいアーティストやデザイナーとタイアップし「新たなMADE IN JAPANの壁紙を世界へ」をコンセプトに立ち上げられた壁紙ブランド。ブランド名の由来は、ウォール(壁)とワルツ(踊り)の組み合わせ。踊っているかのように見える壁の様子や、音楽を聞くように壁紙を楽しむ様子を表現している。徐々にそのアーティストの輪を広げ、多種多様かつ個性的なデザインを展開中。

何気ない日常を、特別なものに

Message/あらきかずま

海の水面に漂う波を「Message」と表現したこの壁紙。デザインを制作したのは、丸ペンだけで細密な作品を描くイラストレーター・あらきかずま。《WALLTZ》からは六つの作品を発表しており、その最新作を《Hattan》とのコラボレーションで展開することになりました。同じデザインのミューラル壁紙は色がより鮮明な印象ですが、不織布を素材とする《Hattan》では、柔らかく優しい雰囲気で一味違った魅力を感じられます。

Message

この作品の制作過程において、彼の気持ちを変化させる出来事が起きました。構想中に姪が生まれ、制作時には自身の子どもが生まれます。

「自分にとって何気ない日常が特別な日常に変わっていったとともに、コロナ期間中に改めて何気ない日常も特別なものであることに気付かされたりと、気に掛けないと見逃してしまう波に思いを重ねています」

柔らかく優しい雰囲気の《Hattan》は、作者のこんな思いにより共鳴できる素材と言えるかもしれません。
作品の背景以外にも注目してほしいポイントがあります。それは、あらきかずま作品の特徴でもある「細密さ」。壁紙に近づいて目を凝らすと、無数に描かれる細かいラインに気付くはず。その細やかで繊細な作業に、ただただ驚くばかりです。描写に使う道具は、おそらく誰もが一度は手にしたことのある「丸ペン」のみ。デザインの原画は41cm×60.5cmのサイズですが、海の深さを感じる色の濃い部分は肉眼でその細やかなラインを確認するのが至難の技。壁紙のサイズに拡大することで、やっとその存在に気付くことができるのです。

あらきかずま

Kazuma Araki

丸ペンだけで描く細密な作品制作を中心に活動するイラストレーター。 細やかな線の集合体は、その緻密な作業からは想像できないダイナミックな景色を生み出す。

縁起は担がず、縁起を貼ろう!

daruma-kikko/ハシジュンコ

長寿吉兆の象徴「鶴亀」に結び付く吉祥文様の一つといえば「亀甲模様」。これに縁起物のだるまを掛け合わせ、六角形のだるまをデザインしたのはテキスタイルプリントデザイナーであるハシジュンコ。
ぴったりと連結して貼れるのが、この六角形だるまのいいところ。思うがままにアレンジできるアーティスティックな貼り方は、コロコロと丸いだるまでは叶いません。

「縁起は担がず、縁起を貼ろう!」をコンセプトにした六角形だるまのロール壁紙もありますが、もっと自由に、もっと簡単に貼ることができる《Hattan》でも展開しました。

ハシジュンコ

Junko Hashi

見る人の潜在意識を刺激し、心地よさを届ける柄の魔術師。 現在、スポーツブランド「アリーナ」やカジュアルブランド「メルロー」、老舗ブランドまで多種多様な企業へ図案を提供し、商品化されている。
今後、自身のブランド「zuncot.」からもオリジナル商品を展開していく予定である。

想い想われているすてきな毎日に感謝

相思相愛/よしだよしえい

「子どもが生まれ、家族が増えたこと。いつも想っていることの方が強いと感じていましたが、想われている、お互いに必要とされている喜びを描きたいと思いました。どこかの誰かの世界。想い想われているすてきな毎日に感謝してハッピーに描きました」

そう語るのはイラストレーターのよしだよしえい。〈相思相愛〉も〈daruma-kikko〉と同じく、壁紙のデザインから《Hattan》へとリデザインされたもの。かわいらしい鳥たちが一面に広がり、そのほとんどが1枚の中にペアで描かれています。色は画像のホワイトのほか、懐かしさを感じる柔らかいマスタードと、2色のカラーバリエーションから選べます。

よしだよしえい

Yoshiei Yoshida

2013年、京都の新町五条にある「つくるビル」にてデザインチーム「YOSHIDA;ke」(yoshida-ke.com)を立ち上げ、 手描きイラストを中心としたデザインを担当。
また、絵本作家としての活動を同年に本格的にスタートさせる。線画で描かれたイラストはシンプルながら、1つ1つに様々な表情とストーリーが感じられる。