八反一家、《Hattan》を見つける
2020年、革新的な壁紙が誕生した。誰でも簡単に貼って剥がせる《Hattan》である。
のりを溶いた水にフリース(不織布)素材でできた45cm角のシートを浸し、ペタペタと貼るだけの壁紙だ。普通、壁紙といえば幅が50cm〜100cm程度あり、ロール状に長く巻かれている。壁を変えることに興味はあるがなかなか一歩を踏み出せなかった人たちが「これなら!」と重い腰を上げたのである。発売当初1シリーズだった《Hattan》はその後、驚異的なスピードで多彩なデザインを展開し続けた。これに目をつけたのが大阪市某所に住む八反一家。引っ越しを機にインテリアにこだわりたいと考えていたところタイミング良くこの壁紙と出会った。自分たちの名前と同じ商品名に興味を持ったことがきっかけだったが、一度使ってみるとたちまち虜となった。
八反一家は父と母、長女、長男からなる個性の強い4人家族だ。各々が気に入った《Hattan》の柄を選び、自分たちの過ごす空間を好きなテイストに作り上げている。このリビングは父の意向で〈Hattan African〉の(ネイチャーブラウン)に。家具やインテリア小物は母の好みでまとめている。異なる6柄が1セットの〈Hattan African〉。同じ柄が隣り合わないよう母と長女が指示を出し唯一無二のリビングを完成させた。楽しそうな4人の談笑が聞こえてきそうである。
※ Hattanは、水に浸すだけで貼れる素材にリニューアルしました(2021年10月)。
はったんいっか 【八反一家】
八反一家とは『壁紙屋本舗』のオリジナル壁紙《Hattan》をより楽しく、より幅広く紹介するために生まれた架空の家族である。平均的な家族構成にならい『壁紙屋本舗』のスタッフを寄せ集めた結果、なかなか個性強め&こだわり強めの一家に仕上がった。
無機質を貫くこだわりスタイル
モノクロを意識したという長男の部屋には相性抜群である〈Hattan Concrete〉の(シャビーホワイト)を選択。完璧なまでに無機質に仕上がっている。デスク周りや小物のほとんどを黒でまとめているが、それだけだとどこか味気ない。そこでハイスツールやビンテージ感のあるボクシンググローブなど、ブラウン系のアイテムを持ってくるあたりにこの長男のセンスが光る。ちなみにボクシングは一切しない。この部屋では靴を履いたまま過ごすアメリカンスタイルを貫いている。「部屋」だけではなく「部屋にいる自分」も含めてのこだわりの強さである。
「普通のコンクリート柄は冷たい印象だけど、
《Hattan》は繊維性の素材だからやわらかい印象に。
こんなにインテリアに適したコンクリート柄は他にないと思う。」
読書優先、ロースタイルインテリア
読書好きの長女は『Pinterest』で見つけたコンクリートブロックと木材を使ったロータイプのブックシェルフをどうしても作りたかった。お気に入りの本がいつでも目に入るオープン収納だ。それに合うものを、とシャビー絨毯の柄がランダムにデザインされた〈Hattan Shabby Carpet〉の新色(シャビーグリーン)を選んだ。もともとこのシリーズはグレーとピンクが展開されていたが彼女には刺さらず、その後登場する(シャビーグリーン)に即決。何を隠そう、この色は彼女の熱い要望によって生まれたのだ。ちょっとした制作の裏話である。こうしてお気に入りの〈Hattan Shabby Carpet〉が映える落ち着いたトーンの空間に仕上がった。
「一枚一枚表情の違うカーペットのデザインと
飽きがこない絶妙なカラーで
どんなインテリアでも楽しめる!」
ブラウン系グラデーションで癒しの寝室
実はインテリアスタイリストをしている八反一家の母。この家族のインテリアへの思い入れの強さや、センスの良さは紛れもなくこの母の影響である。ナチュラル系のスタイルが得意な彼女はリネン生地のデザイン〈Hattan Nature〉からブラウン系の6色を選び、寝室を癒しの空間に仕上げた。上部から濃い順に1段ずつ色のトーンを変えるグラデーション貼り。この濃淡の流れが深い眠りを誘ってくれそうである。クッションに差し色を持ってくる技はさすがだ。
「近頃、インテリアのカテゴリーで注目されている
『timeless(永遠の)』というワード。
まさに飽きのこないシンプルで普遍的な色使いを楽しんでもらいたい。」
渋いのにモダン、大阪愛あふれる書斎
最後は父の書斎。父は古地図シリーズ〈Hattan Old Map〉から江戸時代の大阪を選んだ。生粋の大阪人である父にぴったりのデザインである。かつて「水の都」と呼ばれたとおり、街中に張り巡らされた堀川(水路)とともに発展した大阪の姿を一望できる。デスクとソファも大阪にある唯一無二の家具屋『TRUCK FURNITURE』のものを愛用。大阪愛にあふれ、父の渋さを際立たせるインテリアである。このソファに座ってベースを弾くのが元ベーシストである父のお気に入りの時間だ。
「昔はほとんどが川だった大阪。
今もある地名や通りを探すのがオモロイ。」
以上が《Hattan》を使った八反一家のインテリアコーディネートである。少しでも興味を持ってもらえたのであれば寄せ集め一家も万々歳だ。