素材感を活かした無垢や経年変化した古材など、表情豊かな素材。
豊富な種類の木目デザイン
木とともに生きてきた私たちにとって、木目デザインは精神的にも文化的にも、最も身近なデザインと言えるでしょう。
どんなジャンルのインテリアにもなじむ木目は、壁紙のデザインとしても不動の人気を誇ります。国産壁紙・輸入壁紙ともに、一方に引けを取らない豊富なデザインが展開され、近年の自然素材ブームも相まって、さらにそのデザインの幅を広げています。
木目デザインの壁紙
木目デザインのポイントは、何と言ってもその表情の豊かさ。
無垢な風合いのナチュラルな木目、塗装を施したペイントウッド、経年変化を再現した古材。シャビー、ヴィンテージ、ラグジュアリーなどあらゆる系統のコーディネートで活躍の場をもつ、まさに壁紙デザイン界のカメレオン俳優と言えます。
風合い以外に注目したいのが、板の並び方。
例えばコンクリートや塗り壁調のデザインでは、一定のトーンが途切れることなく広がるパターンが多く見られますが、木目の場合、当然と言えば当然ながら、木片を貼り合わせたデザインがほとんどを占めます。長い板を平行に敷き詰めたもの、小さな板をレンガのように並べたもの、ヘリンボーン、斜め貼り、パーケットなど実にさまざま。木の表面模様も、滑らかな曲線を活かした板目、整った直線を活かした柾目、年輪や樹皮をモチーフにしたものまで存在します。
同じ色味の木目でも、板の貼り合わせやその模様により全く異なる表情を見せてくれるのが、木目デザインのおもしろさなのです。
近年は異素材を組み合わせた、木目の新境地とも言えるデザインも注目されています。
ピート・へイン・イークの木目デザイン
さて、木目の壁紙といえばピート・ヘイン・イーク。彼の存在を差し置いて話を進めることはできないでしょう。廃材や工業廃棄物を再利用したユニークな作風で、素材そのものの表情を引き出すオランダの家具デザイナーです。
2018年に『IKEA』とのタイアップで打ち出した「INDUSTRIELL」シリーズで彼を知った人も多いかもしれません。量産品でありながら均一性をなくし、製品1つ1つの個性を追求したコレクションとして注目を集めました。
そんなピートの代表的な作品の1つが、木目の壁紙コレクション〈SCRAPWOOD WALLPAPER〉シリーズ。彼のアトリエにある莫大な廃材ストックから組み立てられたデザインです。
「スクラップウッドのデザインを壁紙にしたのは合理的だよ。本物の廃材を使って壁を作ろうと思ったら、大量のストックからぴったり合う組み合わせを選ぶだけで途方もない時間がかかるうえ、壁に貼り付けるのも簡単じゃないしね。壁紙ならコストも手間もそんなにかからない。味もあるからおもしろいし、何より本物の木の壁みたいに見える。みんな騙されてしまうんじゃないかな。」
これはピートが2014年に来日した際の言葉です。この言葉通り、触って確かめたくなるくらいリアルな木目の〈SCRAPWOOD WALLPAPER BY PIET HEIN EEK〉は2011年に鮮烈なデビューを果たし、今では16品番がラインアップされています。
その後2017年、同じく《NLXL》とのタイアップにより、木目を題材にした新たなコレクションが誕生しました。それが〈TIMBER STRIPS WALLPAPER BY PIET HEIN EEK〉です。
「木材を使って壁に『禅』の要素を取り入れたかったんだ。その世界観を表現するために、黒い箱に細い木材を接着してみたらいい具合に仕上がった。すぐさまピートがアトリエで大きなパネルにそのデザインを再現して完成したのが(TIM-01)だよ。僕の自宅にも貼ってるんだ。」
これが、《NLXL》クリエイティブディレクター、リック・ヴィンテージの語ったコレクションの起源。
どこか日本の寄木細工を思わせる雰囲気の(TIM-05)や(TIM-06)は、海外の視点から「わびさび」をイメージし、その世界観が表現されたデザインとなっています。
PIET HEIN EEK ピート・ヘイン・イーク |