壁紙オタクのご自宅インタビュー「WALLPAPER FREAK」

白い壁が見当たらない?! まさに壁紙御殿の日下部家!

リビングには5種類の壁紙が並んで見える絶景ポジションが。パイナップル柄の壁紙を階段側の壁まで巻き込んで施工しなかったことを今でも激しく悔やんでいるという。手前からPHM-36《NLXL》TIM-03《NLXL》WP20090《MINDTHEGAP》441802《rasch》TIM-06《NLXL》

キッチンカウンター周りはヘリンボーン状に組まれた寄木のデザインで統一。TIM-06《NLXL》

モンステラのトンネルをくぐり抜けるようなワクワク感のある2階への階段。蹴上げ部分にも壁紙が。壁 441802《rasch》/蹴上げ TIM-05《NLXL》

3階へ上がる階段は〈TIMBER STRIPS WALLPAPER by PIET HEIN EEK/TIM-03《NLXL》〉を横貼りにして爽やかな印象に。壁紙好きから絶賛される玄人好みの場所だとか。

3階のトイレは全面バナナリーフの壁紙に。ドアを開けた瞬間のインパクトが大きく男性に評判が良いそう。473407《rasch》

ボタニカルの緑とレンガの白、そして濃い色目の床のコントラストがバランス良くまとまったランドリールーム。ボタニカルの壁紙 439533《rasch》※取り扱い終了 /白いレンガの壁紙 441109《rasch》※取り扱い終了

機会を見つけては、原点となった『WALPA store TOKYO』に通う日下部さん。壁紙のチェックもさることながら「壁紙の貼り方教室」で親しくなったスタッフ・米澤さん(画像左上)に会えることをとても楽しみにしているのだとか。米澤さんに普段の来店時の様子を聞いてみました。

「日下部さんがご来店の際は私から壁紙をご提案するというよりは、楽しそうに店内をご覧になっているところにそっと付き添っているイメージです。デザインのワンポイントや裏話などお伝えするとつい盛り上がってしまい、よく2人でキャッキャとしています。すでに壁紙を貼っている部屋に新たな壁紙を取り入れるときには、壁紙のサンプルを実際に並べイメージを膨らませながら壁紙を決めることもあります」

多彩なデザインの壁紙が所狭しと並ぶ店内。「壁紙だらけの空間に居るだけで気持ちが上がる」という日下部さんにとってまさにパワースポットのような場所となっています。ほとんどの場合、新作は事前にオンラインストアでチェックしているので、新たな壁紙の発見というよりは気になっている壁紙を改めて愛でるために訪れているそうです。
「来店のたびに何度も同じサンプル帳を見るんですが、前に来た時はそんなに響かなかった壁紙でも、ある時やっぱりいいなと思い始めることがあるんです」 店内にある、壁紙でリメイクされた家具やインテリアも入念にチェックし、今後の夢を膨らませているといいます。

日下部さんが愛用する「壁紙ノート」なるものがあります。

「壁紙の必要量の計算や、この寸法にどう貼るかという計画を立てるのがすごく好きで、ノートに細かく書き込んで構想を練るんです。例えば木目のデザインなら、一幅目で木の継ぎ目がここにあるから他の幅では同じ位置にかぶらないようにしようとか、ここから見える位置にこの絵柄を置くにはどう貼ればいいだろうとか、割り付けを考えるのが本当に楽しくて。これも輸入壁紙の魅力の一つだと思います」

日下部さんには、昔から言葉で表現してきた夢があります。それはいつか自分の「箱」を作りたいというもの。学生時代は建築について学んでいましたが「箱」というのは建築物そのものではなく、空間や枠組みを意味しています。

「こうして自宅で壁紙を楽しみ、その様子をSNSなどで発信していますが、興味を持ってくれる人がいたとしても実際に遊びに来てもらえるわけではないんですよね。だから例えば、今思い描いているのは民泊やレンタルスペースのような『みんなで集える場所』を作ること。壁紙を貼ったりDIYをしたりフェイクグリーンを飾ったり、仲間と一緒にその空間をつくり上げて、興味のある人たちがいつでも気軽に遊びに来れるような場所をつくれたらいいなと思っています」

「好き」を貫き、周囲の輪をどんどん広げている日下部さんのパワーを見ていると、そう遠くない未来にその夢を叶えているのではという気がします。壁紙について話す表情は実に生き生きと、巻き込まれそうなほどの前向きなパワーにあふれたものでした。
今回ご紹介したのは、自宅の一角から夢を膨らませた女性の壁紙にまつわる物語。誰もが見つけられるわけではない、愛して止まないもの。人生を大きく変えてしまうような「きっかけ」は、案外私たちのすぐそばに転がっているのかもしれません。

Special Thanks to

日下部 有香

くさかべ ゆか

1981年生まれ。一児の母。 フェイクグリーン専門店「いなざうるす屋」経営。
飾る場所、飾る人ごとに個性が出るフェイクグリーンを雑貨感覚で使うことを提唱しており、主婦DIYクリエイター集団「つるじょ」を結成するなど、DIY関連のイベント企画も精力的に行う。