World tour at home -壁紙で世界旅行-

コロナ禍収束の兆しがなかなか見えないこのご時世。こんなに長引くなんて誰が想像したでしょう。

「ステイホーム」や「テレワーク」など、有無を言わさぬ新たな生活様式の普及とともに、人との距離や家での過ごし方が一変しました。増えた在宅時間をより快適に過ごそう、より仕事に適した環境をつくろうと、インテリアへの関心が高まっています。家での時間が充実し始める一方、やはり外での娯楽は減りました。 コロナ禍によって奪われた楽しみの一つが、海外旅行。せわしない日常から抜け出し、新たな文化に触れ、地産の美食を堪能する。こういった機会が失われただけでなく、国内を自由に行き来することさえ難しくなりました。これまでと同じ日常が過ごせないのは窮屈なものですが、こんな状況下でも新たな趣味や生活の楽しみを見つけることで生活の張りを失わずに過ごせるような気がします。
そこで今回、おうち時間を楽しむための新たなご提案。それは、部屋に居ながらその土地へ行ったかのように過ごせる「壁紙で世界旅行」です!壁紙という擬似航空券を探したら、あとはその場所に沿ったインテリアを取り入れるだけ。訪れたことのない人は未知の世界への想像を膨らませ、楽しかったあの旅先を再現する人はその時間に思いをはせ、世界旅行気分を味わえるコーディネートをしてみてはいかがでしょう。今回は世界五つの場所をイメージしたインテリアをご紹介します。

シノワズリ調の壁紙:106390《Graham & Brown》
コンクリート調のクッションフロア:SCF-4553《壁紙屋本舗》

台湾・九份(きゅうふん)といえば、赤い提灯や茶芸館などに見るノスタルジックな街並みや、海を一望できる風光明媚な景色が魅力的。石畳の長い階段や、レトロな露店がひしめく食べ歩きスポットは土産物を求める観光客でにぎわいます。首都台北から日帰りで楽しめるという立地面も相まって、台湾国内でも人気のスポットとなっています。
そんな九份にあるお茶屋をイメージしたコーディネートがこちら。上品なシノワズリ調の壁紙をメインに、赤と緑を意識した配色。派手な印象が浮き立たないようアンティーク家具やドライプランツなど落ち着いた要素を合わせ、モダンな雰囲気の漂う空間に仕上がりました。憧れの旅へ思いをはせながら、リラックスしたティータイムが過ごせそうです。

Styling by Suzuka Tsujikawa

本棚の壁紙:8888-13《koziel》
腰壁:ウッドクッションシート/ダークオーク《壁紙屋本舗》
レンガの壁紙:SLL-5220 《壁紙屋本舗》
婦人の肖像画:TABLEAU VELOURS ANIME BOURGEOIS XIXEME – MADAME《koziel》
木目のクッションフロア:SCF-4509《壁紙屋本舗》
(*)映画に登場する実際のアイテムを取り入れ再現したものではありません。

2001年に第1作が公開された映画「ハリー・ポッター(製作:Warner Bros.)」シリーズに登場する、魔法学校の図書館。このロケ地となったのが、イギリス・オックスフォードにあるボドリアン図書館です。イギリスで出版された全ての本を収蔵しているという歴史ある建造物で、映画の中でたびたび登場するこの図書館はファンにとってまさに聖地となっています。物語の舞台であるロンドンにも有名なロケ地が存在しますが、オックスフォードも外すわけにはいかないでしょう。
アンティークな本棚デザインの壁紙と、立体感ある腰壁を再現するための《ウッドクッションシート》。そして部屋の入り口には、レンガの壁紙と婦人の肖像画。落ち付いたトーンの要素を掛け合わせることで、空間の雰囲気に深みを持たせることができます。そこに木製の重厚なデスクとアンティークチェアを合わせると、気分はまるで歴史ある異国の図書館に居るかのよう。
「好き」をピンポイントに取り入れるのも、新たなインテリアの楽しみ方としておすすめです。

Styling by Suzuka Tsujikawa

アメリカ北東部に位置するロードアイランド州が発祥とされる、大衆食堂「ダイナー」。幅広いフードやドリンクをカジュアルなスタイルで楽しめる、アメリカの食文化を象徴するレストランです。 軽食を販売する移動式屋台が起源とされ、古くなった列車の食堂車が利用された時代もあったそう。その内装を思わせるカウンターとボックスシートからなる店内、レトロな色使いや装飾、ネオンの看板など、これぞダイナーというべき特徴がいくつかイメージできるはずです。
そんなアメリカンダイナーを、壁紙や小物で再現しました。アメリカンダイナーのインテリアは、とにかくカラフルで派手な色使いが特徴的。星条旗を思わせる赤と白、チェッカーズフラッグの黒と白などコントラストの強い配色やモチーフに加え、さらにビビッドな色使いを取り入れる大胆さこそがダイナー風インテリアのポイントです。今回は明るくパキッとしたイエローとターコイズブルー2色の壁紙を軸に、アメリカンレトロに欠かせないブリキの看板やネオンサイン、ステッカーなどポップなアイテムで彩りました。ジュークボックスやカラフルなボックスソファなどがあれば、よりリアルな雰囲気に近づけることができます。

定番メニューのハンバーガーとフライドポテト、朝食には卵料理やワッフル、パンケーキやフレンチトーストなど、とびきりアメリカンな食事を用意して、さあ、本場さながらの明るくポップな食卓を楽しみましょう。

Styling by Haruna Fukuda

青い海と白い砂浜、風に揺らぐ南国の花。海辺で過ごすトロピカルでゆったりとした時間の流れが心地よい、憧れのリゾート地ハワイ。ビーチスタイルのインテリアの中でも、色やテイストを幅広くアレンジしやすいのがハワイアンインテリアです。今回はハワイにあるヘルシーでおしゃれなカフェをイメージしてダイニングを彩りました。実はハワイは世界的にも最高品質と評されるコーヒー豆の産地として知られ、こだわりのコーヒーを出すカフェがたくさんあります。
ハワイのカラーとして外せないのが海の色、ブルー。そのブルーを一層鮮やかに際立たせる原色系カラーを取り入れてトロピカルな雰囲気にまとめます。色を取り入れるときのポイントは、ハワイの「海」「砂浜」「植物」など、自然界に存在するカラーを意識すること。豊かな自然の中で育ったコーヒー豆やトロピカルなフルーツ、ポップな小物を並べたら、家でのカフェタイムがリゾート気分に!

Styling by Wakana Tatsumi

アフリカンデザインの壁紙:Hattan Pattern African/HPA-C03
木目のクッションフロア:SCF-4509
全て《壁紙屋本舗》

50以上の国からなり、宗教や民族によってさまざまな文化や生活様式が混在するアフリカ大陸。

雄大な自然を感じさせる素朴でワイルドな雰囲気、鮮やかな色合いが特徴的なワックスプリントやボゴランフィニなど伝統的な布や文様が印象的です。 そんなアフリカ大陸の要素を取り入れたインテリアの一つであり、日本での火付け役といえばモロッコインテリア。カラフルな色使いとエキゾチックな雰囲気が特徴ですが、背の低い家具、ラグやクッションなど床に近い高さのアイテムが多く、和室のように低い空間を多用する日本人の感覚になじみやすいインテリアといえます。
その後登場したのが、グレートーンやホワイトなどシンプルなカラーリングに、流木や籐といった自然素材を組み合わせた「塩系アフリカン」。民族衣装に使われるカラフルなプリントや、落ち着いたアースカラーを取り入れたインテリアなど、アフリカで暮らす民族の多様性と同様に、一言ではまとめられないほど幅広いテイストのコーディネートが存在します。

今回は塩系アフリカンに、今注目のブラック要素を取り入れシックなコーディネートに。ソファ背面のアクセントクロスやファブリック、小物類をバランス良く取り入れることで、落ち着いた雰囲気のリビングになりました。

Styling by Wakana Tatsumi